ヒートショックの死亡率|病歴のある親を守る予防と対処法|大阪市の「北急ハウジング」からお客様へのお知らせ北急ハウジング株式会社

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News ヒートショックの死亡率|病歴のある親を守る予防と対処法

目次

まずはじめに..

ヒートショックの死亡者数と死亡率..

厚生労働省の統計で見る年間死亡者数..

死因の分類(不慮の事故・病死)..

年齢別の死亡者数とリスク..

ヒートショックのリスクが高い人の特徴..

高血圧や心臓病など持病(病歴)がある人..

65歳以上の高齢者..

飲酒後や食後すぐの入浴習慣..

今日からできるヒートショックの予防法..

入浴前の対策(脱衣所・浴室を暖める)..

入浴中の注意点(お湯の温度・かけ湯)..

入浴後の行動(ゆっくり立ち上がる)..

住環境でできるヒートショック対策..

脱衣所・浴室への暖房器具の設置..

廊下やトイレの温度差をなくす工夫..

窓の断熱リフォームや内窓の設置..

ヒートショックが起きたら?緊急時の対処法..

初期症状・なりかけのサインを見逃さない..

意識がある場合の応急処置..

意識がない場合の対応と救急要請..

ヒートショックに関するよくある質問..

ヒートショックに根本的な治し方はある?..

お風呂の温度は41度以下が推奨される理由..

エアコンの適切な活用方法..

まとめ..

 

まずはじめに・・

「冬になると、実家の親がお風呂で倒れないか心配…」 「ヒートショックって言葉は聞くけど、実際どれくらい危険なの?」

ニュースでヒートショックの話題に触れるたび、高齢の親を持つ方はこのように不安を感じるかもしれません。特に、親が高血圧や心臓病などの持病を抱えている場合、その心配はさらに大きくなるでしょう。

この記事では、ヒートショックで実際に亡くなる方の数や死亡率、リスクが高い人の特徴、そして何よりも大切な**「今日からできる予防策」と「万が一の時の対処法」**を、分かりやすく解説します。

大切なご家族をヒートショックの危険から守るために、正しい知識を身につけましょう。

ヒートショックの死亡者数と死亡率

ヒートショックの深刻さを理解するために、まずは具体的なデータを見ていきましょう。

厚生労働省の統計で見る年間死亡者数

ヒートショックが直接の死因として統計に現れることは少ないですが、関連するデータからその危険性を推し量ることができます。

厚生労働省の人口動態統計によると、高齢者の「不慮の溺死及び溺水」による死亡者数は増加傾向にあります。また、消費者庁の発表では、入浴中に急死した人は年間で約19,000人にのぼると推計されており、その多くがヒートショックに関連していると考えられています。

これは、交通事故による死亡者数(令和4年で2,610人)をはるかに上回る数字であり、ヒートショックがいかに身近で危険なものであるかを示しています。

死因の分類(不慮の事故・病死)

**「なぜヒートショックが直接の死因にならないの?」**と疑問に思うかもしれません。

これは、ヒートショックが引き起こす最終的な結果によって死因が分類されるためです。

  • 不慮の事故 急激な血圧変動により意識を失い、浴槽で溺れてしまった場合は「溺死」として扱われます。
  • 病死 血圧の乱高下が引き金となり、心筋梗塞や脳卒中などを発症して亡くなった場合は、それぞれの病名が死因となります。

このように、ヒートショックは**「隠れた死因」**として、多くの高齢者の命を奪っているのです。

年齢別の死亡者数とリスク

入浴中の死亡事故は、65歳以上の高齢者に集中しており、年齢が上がるほどそのリスクは高まります。

特に、75歳以上になると死亡者数が急増する傾向にあります。これは、加齢によって体温を調節する機能や血圧を正常に保つ機能が衰えるため、急激な温度変化に対応できなくなることが原因です。

ご家族に高齢の方がいる場合は、特に注意深い対策が求められます。

ヒートショックのリスクが高い人の特徴

誰にでも起こりうるヒートショックですが、特にリスクが高いとされる方々の特徴があります。ご自身やご家族が当てはまらないか、確認してみましょう。

高血圧や心臓病など持病(病歴)がある人

高血圧、糖尿病、心臓病、脳血管疾患などの持病(病歴)がある方は、ヒートショックの最もハイリスクなグループです。

暖かい部屋から寒い脱衣所へ移動すると血管が収縮して血圧が上昇し、その後熱いお湯に浸かると今度は血管が拡張して血圧が急降下します。この血圧のジェットコースターのような変動が、心臓や血管に極度の負担をかけ、心筋梗塞や脳卒中を引き起こす直接的な原因となります。

65歳以上の高齢者

前述の通り、65歳以上の高齢者はヒートショックのリスクが非常に高いです。

  • 体温を一定に保つ生理機能が低下している。
  • 血圧の変動に対応する能力が衰えている。
  • 暑さや寒さを感じにくくなっていることがある。

これらの理由から、若い人なら問題にならないような温度差でも、体に大きなダメージを受けてしまう可能性があります。

飲酒後や食後すぐの入浴習慣

「お酒を飲んでからお風呂に入るのが楽しみ」という方もいるかもしれませんが、これは非常に危険な習慣です。

  • 飲酒後の入浴 アルコールには血管を広げ、血圧を下げる作用があります。この状態で入浴すると、さらに血圧が下がりすぎて意識を失う危険性が高まります。
  • 食後すぐの入浴 食後は消化のために血液が胃や腸に集中します。その結果、脳への血流が減少しやすくなり、立ちくらみや失神を起こしやすくなります。

入浴は、飲酒後や食後1時間以上経ってからにするのが安全です。

今日からできるヒートショックの予防法

ヒートショックは、少しの工夫で予防できる可能性が高いものです。ここでは、今日からすぐに実践できる予防法をご紹介します。

入浴前の対策(脱衣所・浴室を暖める)

最も重要なのは、家の中の温度差をなくすことです。

  • 脱衣所を暖める 入浴前に小型の暖房器具で脱衣所を暖めておきましょう。リビングとの温度差を5℃以内にすることが理想です。
  • 浴室を暖める 浴槽にお湯をためる際に、高い位置からシャワーで給湯したり、浴槽の蓋を開けておいたりすると、蒸気で浴室全体が暖まります。
  • 家族に一声かける 「今からお風呂に入るよ」と家族に伝えておくだけで、万が一の時に発見が早まります。

入浴中の注意点(お湯の温度・かけ湯)

お風呂の入り方にもポイントがあります。

  • お湯の温度は41度以下に 熱すぎるお湯(42度以上)は血圧を急上昇させます。41度以下のぬるめのお湯で、リラックスして入浴しましょう。
  • かけ湯をしっかり行う いきなり湯船に浸からず、心臓から遠い手足の先から順にかけ湯をして、体をお湯の温度に慣らさせましょう。
  • 長湯を避ける 湯船に浸かる時間は10分までを目安にしましょう。長湯はのぼせや脱水症状の原因にもなります。

入浴後の行動(ゆっくり立ち上がる)

入浴後は血圧が下がりやすくなっているため、注意が必要です。

お湯から出る際は、浴槽のへりなどにつかまり、ゆっくりと立ち上がることを徹底してください。急に立ち上がると、脳への血流が一時的に不足し、立ちくらみや失神(起立性低血圧)を起こす危険があります。

住環境でできるヒートショック対策

毎日の対策に加えて、住環境を整えることで、より安全な入浴環境を作ることができます。

脱衣所・浴室への暖房器具の設置

脱衣所には、人感センサー付きのセラミックファンヒーターなどを置くと、手軽に暖めることができて便利です。浴室には、後付けできる浴室暖房乾燥機を設置するのも非常に効果的です。工事が必要な場合もありますが、根本的な対策として検討する価値は高いでしょう。

廊下やトイレの温度差をなくす工夫

ヒートショックは浴室だけでなく、夜中にトイレへ行く際などにも起こり得ます。暖かい寝室から冷え切った廊下やトイレへの移動も危険です。

可能であれば、廊下やトイレにも小型の暖房器具を設置し、家全体の温度差を小さくする工夫をしましょう。

窓の断熱リフォームや内窓の設置

家の熱が最も逃げやすいのは窓です。窓の断熱性を高めることは、ヒートショック対策と光熱費の節約の両方に繋がります。

  • 内窓(二重窓)の設置 今ある窓の内側にもう一つ窓を設置する方法。比較的簡単な工事で高い断熱効果が得られます。
  • 断熱ガラスへの交換 既存のサッシを活かして、ガラスだけを断熱性の高いものに交換する方法です。
  • 断熱シートや厚手のカーテン リフォームが難しい場合でも、市販の断熱シートを窓に貼ったり、床まで届く厚手のカーテンを使ったりするだけでも効果があります。

ヒートショックが起きたら?緊急時の対処法

万が一、家族がヒートショックを起こしてしまった場合に備え、正しい対処法を知っておくことが命を救うことに繋がります。

初期症状・なりかけのサインを見逃さない

入浴中に以下のような「なりかけ」のサインが見られたら、すぐに危険を察知し、行動に移してください。

  • めまいや立ちくらみがする
  • 気分が悪くなる、吐き気がする
  • 胸が苦しい、動悸がする
  • 意識がもうろうとする

これらの症状を感じたら、すぐに湯船から出て、安全な場所で休みましょう。

意識がある場合の応急処置

もし家族が浴室内でぐったりしているのを発見し、呼びかけに反応するなど意識がある場合は、以下の手順で応急処置を行ってください。

  1. すぐに湯船から出す 沈んで溺れる危険があるため、まずは湯船から出します。難しい場合は、すぐに浴槽の栓を抜いてお湯をなくしましょう。
  2. 体を保温する 濡れた体を拭き、バスタオルや毛布で包んで保温します。
  3. 水分補給 可能であれば、常温の水やスポーツドリンクを飲ませます。
  4. 安静にする 楽な姿勢で横になり、回復を待ちます。症状が改善しない場合や、本人が異常を訴える場合は、迷わず救急車を呼びましょう。

意識がない場合の対応と救急要請

呼びかけに全く反応しない、呼吸が確認できないなど、意識がない場合は一刻を争います。

  1. 大声で助けを呼び、すぐに119番通報する これが最優先です。救急隊員に状況を正確に伝えてください。
  2. 浴槽から引き上げる(可能であれば) 溺れている可能性があるため、すぐに浴槽の栓を抜き、可能であれば安全な場所に移動させます。
  3. 呼吸と脈を確認する 呼吸がない、または普段通りの呼吸でない場合は、救急隊員の指示に従い、胸骨圧迫(心臓マッサージ)などの心肺蘇生を開始してください。

ためらわずに救急車を呼ぶ勇気が、命を救う鍵となります。

ヒートショックに関するよくある質問

最後に、ヒートショックに関するよくある疑問にお答えします。

ヒートショックに根本的な治し方はある?

ヒートショックは特定の病気ではなく、急激な温度変化によって引き起こされる身体の反応(ショック症状)です。そのため、「治し方」という概念はなく、何よりも「予防」が重要になります。この記事で紹介した予防策を徹底することが、最善の治療と言えます。

お風呂の温度は41度以下が推奨される理由

**「42度のお風呂じゃないと温まった気がしない…」**という方もいるかもしれません。しかし、42度以上の熱いお湯は交感神経を急激に刺激し、血管を収縮させて血圧を急上昇させます。これは心臓や血管に大きな負担をかける危険な行為です。

一方、41度以下のぬるめのお湯は、リラックス効果のある副交感神経を優位にし、血圧を穏やかに下げる効果があります。体を芯から温めつつ、リスクを避けるためには、41度以下のお湯にゆっくり浸かるのが最適です。

エアコンの適切な活用方法

冬場はリビングだけを暖めがちですが、ヒートショック予防の観点からは、家全体の温度差をなくすことが理想です。エアコンを使う際は、リビングだけでなく、脱衣所や浴室につながる廊下なども含めて、家全体がほんのり暖かい状態を保つように設定しましょう。タイマー機能を活用して、入浴する時間帯に合わせて廊下などを暖めておくのも効果的です。

まとめ・・

ヒートショックは、交通事故よりも多くの命を奪う、身近に潜む危険です。特に、高血圧などの持病がある高齢の親を持つ方にとって、決して他人事ではありません。

しかし、ヒートショックは正しい知識と少しの工夫で予防できる可能性が高いものです。

  • 死亡者数は年間約19,000人と推計され、高齢者や持病のある人は特にハイリスク
  • 予防の鍵は「家の中の温度差をなくす」こと
  • 「脱衣所を暖める」「お湯は41度以下」など、今日からできる対策を実践する
  • 万が一に備え、正しい対処法を家族で共有しておく

この記事を参考に、ぜひ今日からヒートショック対策を始めてみてください。あなたやご家族の小さな行動が、大切な人の命を守ることに繋がります。

 

writer kitamura