News 兄弟姉妹の共有持分は危険!認知症・代襲相続トラブルの全対策
目次
ケース2:関係が悪化している、または早く縁を切りたい場合..
ケース3:話し合いに応じてもらえない、または代襲相続で関係者が増えた場合..
まずはじめに・・
「兄弟仲が良いから、親の不動産を共有名義で相続しても大丈夫だろう」 そう考えているなら、少し立ち止まってください。その判断が、将来的に深刻なトラブルを引き起こす可能性があります。
共有者である兄弟が認知症になったら?もし兄弟が先に亡くなり、その子供たち(甥や姪)が権利を相続する代襲相続が起きたら?
最初は円満だったはずの共有関係は、時間の経過とともに複雑化し、不動産の売却や管理が一切できなくなる「塩漬け」状態に陥る危険をはらんでいます。
この記事では、不動産の共有名義、特に兄弟間での共有がなぜ危険なのか、認知症や代襲相続がもたらす具体的なリスクと、そうしたトラブルを未然に防ぎ、解決するための全対策を専門家の視点から分かりやすく解説します。
不動産の共有名義で後悔する理由
不動産を共有名義で相続すると、一見公平に見えますが、実際には多くのデメリットが潜んでいます。なぜ多くの人が後悔するのか、その主な理由を3つ見ていきましょう。
売却や活用に共有者全員の同意が必要
共有名義の不動産は、共有者全員の同意がなければ売却や大規模なリフォーム、賃貸に出すことすらできません。
例えば、あなたが「実家を売却して現金化したい」と考えても、兄弟の一人が「思い出の家だから手放したくない」と反対すれば、売却は不可能です。
共有者の中に一人でも非協力的な人や、連絡が取れない人がいるだけで、不動産は活用も処分もできない「負の資産」と化してしまうのです。
管理費や固定資産税の負担トラブル
不動産を所有している限り、固定資産税や都市計画税、マンションであれば管理費・修繕積立金が毎年発生します。
法律上、これらの費用は共有者全員が連帯して支払う義務を負いますが、実際には「誰が代表して支払うのか」「負担割合をどうするのか」で揉めるケースが後を絶ちません。
「実家に住んでいないのになぜ払う必要があるのか」「兄さんの方が収入が多いから多く負担してほしい」といった不満が積み重なり、兄弟間の関係に亀裂が入る原因となります。
相続の度に権利関係が複雑化する
共有名義の最大のリスクは、相続が発生するたびに権利関係がネズミ算式に複雑化することです。
例えば、兄弟2人で共有していた不動産で、兄が亡くなると、兄の持分は配偶者や子供たちに相続されます。すると、今度はあなたと甥・姪が共有者となり、意思決定すべき相手が増えてしまいます。
このように、世代交代が進むにつれて共有者の数は増え続け、面識すらない遠い親戚と不動産を共有する事態にもなりかねません。
共有者が認知症になるリスク
兄弟が高齢になるにつれて、無視できなくなるのが「認知症」のリスクです。もし共有者の一人が認知症と診断された場合、不動産は事実上「凍結」されてしまいます。
意思能力がなくなり不動産が凍結
認知症などにより正常な判断ができない状態を、法律上「意思能力がない」と判断されます。
不動産の売買契約のような重要な法律行為は、意思能力がなければ行うことができません。つまり、共有者の一人が認知症になると、その人は売却に「同意」することが法的にできなくなります。
結果として、他の共有者が全員売却に賛成していても、認知症の共有者がいるというだけで、不動産は売ることも貸すこともできず、完全に凍結されてしまうのです。
売却には成年後見制度の利用が必須
認知症の共有者がいる不動産を売却するためには、家庭裁判所に申し立てて「成年後見人」を選任してもらう必要があります。
成年後見制度とは、判断能力が不十分な人に代わって財産管理や契約行為を行う「成年後見人」を法的に定める制度です。この後見人が本人に代わって売却契約に同意することで、初めて不動産を動かすことが可能になります。
ただし、この制度の利用は簡単ではなく、多くの時間と費用、そして制約が伴います。
成年後見人選任の手続きと費用
成年後見人を選任するには、家庭裁判所への申立てが必要です。手続きには通常3〜6ヶ月程度の期間がかかります。
- 申立て費用 収入印紙や郵便切手代、診断書取得費用などで数万円。鑑定が必要な場合はさらに5〜10万円程度かかります。
- 専門家への依頼費用 申立手続きを司法書士や弁護士に依頼する場合、10〜30万円程度の報酬が別途必要です。
- 後見人への報酬 親族が後見人になれるとは限らず、弁護士や司法書士などの専門家が選任されるケースが多いです。その場合、本人の財産から月額2〜6万円程度の報酬を、後見が終了するまで支払い続ける必要があります。
さらに、後見人は本人の財産を守ることが最優先の役割であるため、「本人の居住用不動産」を売却するには、家庭裁判所の厳しい許可が必要となり、必ずしも売却が認められるとは限りません。
(参考:裁判所「成年後見制度」)
代襲相続で問題が複雑化する危険
「兄弟が元気なうちに話し合えば大丈夫」と思っていても、予期せぬ「代襲相続」が事態をさらに複雑にする可能性があります。
代襲相続の仕組みを図で解説
代襲相続とは、本来相続人となるはずだった人(例えばあなたの兄弟)が、被相続人(親)より先に亡くなっている場合に、その子供(甥や姪)が代わりに相続する制度です。
- 通常の相続 親 → 子(あなた、兄)
- 代襲相続が発生した場合 親 → 子(あなた)、孫(亡くなった兄の子である甥・姪)
このように、兄弟が亡くなると、その持分は自動的に甥や姪へと引き継がれ、彼らが新たな共有者として登場します。
兄弟の子供(甥・姪)が新共有者に
代襲相続によって、これまで関わりのなかった甥や姪が、突然不動産の共有者となります。
もし兄に子供が3人いれば、兄が持っていた1/2の持分は、さらに3分割(各1/6)され、あなたと3人の甥・姪の合計4人で不動産を共有することになります。
相続を重ねるごとに共有者は増え、持分は細分化され、権利関係はどんどん複雑になっていくのです。
関係性が薄い相続人との合意形成
関係性が薄い、あるいは全く面識のない甥や姪と、不動産の処分について意見をまとめるのは極めて困難です。
- そもそも連絡先が分からず、話し合いのテーブルにすらつけない。
- 不動産に何の思い入れもなく、協力する気がない。
- 「法定持分に見合う高額なハンコ代(現金)をくれなければ同意しない」と要求される。
このような状況に陥ると、もはや当事者間での解決は絶望的となり、時間も費用もかかる法的な手続きに頼らざるを得なくなります。
共有名義・共有持分の解消方法
複雑でリスクの高い共有状態は、できるだけ早く解消すべきです。ここでは、具体的な解消方法を4つご紹介します。
共有物分割協議・調停・訴訟
まずは共有者全員で話し合い(共有物分割協議)、どのように不動産を分けるか決めます。
- 現物分割 土地を分筆して、それぞれが単独所有する。
- 代償分割 共有者の一人が不動産をすべて取得し、他の共有者には持分相当額の現金を支払う。
- 換価分割 不動産全体を売却し、その代金を持分割合に応じて分配する。
話し合いで合意できない場合は、家庭裁判所に共有物分割調停を申し立てます。それでもまとまらなければ、共有物分割請求訴訟へと進み、裁判所の判決によって分割方法が強制的に決定されます。
自分の共有持分のみを専門業者へ売却
他の共有者の同意を得ずに、自分の持分だけを売却できる唯一の方法です。
共有持分を専門に買い取っている不動産業者に売却します。
- メリット 他の共有者と交渉する必要がなく、スピーディーに現金化できる。トラブルから早期に離脱したい場合に有効です。
- デメリット 不動産全体の売却に比べて、売却価格は市場価格の5〜7割程度と安くなる傾向があります。
他の共有者に持分を買い取ってもらう
他の共有者(例えば兄弟)に、あなたの持分を買い取ってもらう方法です。
- メリット 専門業者に売るよりも高く売れる可能性があります。
- デメリット 相手に買取の意思と資金力がなければ成立しません。価格交渉で揉める可能性もあります。
他の共有者の持分を自分が買い取る
あなたが他の共有者の持分をすべて買い取り、不動産を単独名義にする方法です。
- メリット 不動産を自分のものとして、自由に活用・売却できるようになります。
- デメリット 他の共有者全員の持分を買い取るためのまとまった資金が必要です。
共有持分解消方法の比較
どの解決策が最適かは、あなたの状況や目的によって異なります。それぞれの方法を比較し、検討してみましょう。
メリット・デメリット一覧表
| 共有物分割協議 | 費用を抑えられる。円満に解決できる可能性がある。 | 全員の合意が必要。時間がかかることがある。 |
| 共有物分割調停・訴訟 | 法的に強制力のある解決ができる。 | 費用と時間がかかる。共有者との関係が悪化する。 |
| 持分のみを業者へ売却 | スピーディー。他の共有者の同意が不要。 | 売却価格が安くなる。 |
| 他の共有者へ売却 | 業者より高く売れる可能性がある。 | 相手に資金力と意思が必要。交渉が難航する可能性。 |
| 他の共有者から買取 | 不動産を単独所有できる。 | まとまった資金が必要。 |
解決までにかかる費用と期間の比較
| 共有物分割協議 | 数万円~(登記費用など) | 1ヶ月~数ヶ月 |
| 共有物分割調停・訴訟 | 数十万円~数百万円(弁護士費用など) | 6ヶ月~数年以上 |
| 持分のみを業者へ売却 | ほぼ無し(仲介手数料不要の場合が多い) | 1週間~1ヶ月 |
| 他の共有者へ売却 | 数万円~(登記費用、仲介手数料など) | 1ヶ月~数ヶ月 |
| 他の共有者から買取 | 数万円~(登記費用、不動産取得税など) | 1ヶ月~数ヶ月 |
状況別のおすすめ解決フロー
ケース1:兄弟間の関係が良好で、話し合いができる場合
- 共有物分割協議 まずは全員で話し合い、全員が納得できる方法(換価分割や代償分割)を探りましょう。
- 他の共有者への売却・買取 誰かが不動産を欲しければ、持分の売買を検討します。
ケース2:関係が悪化している、または早く縁を切りたい場合
- 自分の共有持分のみを専門業者へ売却 交渉の手間や精神的ストレスなく、最も早く共有関係から抜け出せます。
ケース3:話し合いに応じてもらえない、または代襲相続で関係者が増えた場合
- 弁護士に相談 交渉代理や、調停・訴訟の準備を依頼します。
- 共有物分割調停・訴訟 法的手続きによって、強制的に共有状態を解消します。
専門家不動産会社への相談と選び方のポイント
共有持分の問題は法律や税金が複雑に絡み合うため、自力での解決は困難です。問題が深刻化する前に、専門家へ相談することをおすすめします。
弁護士に相談すべきケース
共有者間で意見が対立している、またはその可能性がある場合は、弁護士への相談が第一選択です。
- 共有者との交渉を代理してほしい
- 共有物分割調停や訴訟を検討している
- 代襲相続が発生し、権利関係が複雑になっている
弁護士はあなたの代理人として交渉から訴訟まで一貫して対応できます。
司法書士に相談すべきケース
共有者間での話し合いがまとまっており、主に登記手続きを依頼したい場合は、司法書士が適しています。
- 共有物分割協議がまとまり、合意書を作成したい
- 持分の売買が決まり、所有権移転登記をしたい
- 相続が発生し、相続登記をしたい
ただし、司法書士は交渉の代理や訴訟対応はできないため、トラブルに発展した場合は弁護士に依頼し直す必要があります。
無料相談を活用する際の注意点
多くの法律事務所や司法書士事務所、共有持分買取業者が無料相談を実施しています。
無料相談では、自分の状況を具体的に説明し、解決策の見通しや費用の概算を確認しましょう。 複数の専門家に相談し、対応の丁寧さや専門性の高さを比較検討することが、信頼できるパートナーを見つけるための重要なポイントです。
まとめ
不動産の共有名義は、一見公平なようで、将来に大きなトラブルの火種を抱える危険な状態です。最後に、この記事の重要なポイントを振り返ります。
- 共有不動産は「全員の同意」がなければ動かせない 一人でも反対すれば、売却も活用もできず「塩漬け」になります。
- 共有者の「認知症」で不動産は凍結される 解決には時間と費用のかかる成年後見制度の利用が必須です。
- 「代襲相続」で権利関係はネズミ算式に複雑化する 面識のない甥や姪が共有者となり、話し合いでの解決は極めて困難になります。
- 共有状態の解消は早ければ早いほど良い 問題が深刻化する前に、共有物分割協議や持分売却などの対策を検討しましょう。
- 困ったらすぐに専門家へ相談する 共有持分の問題は、法律の専門知識が不可欠です。弁護士や司法書士、専門業者北急ハウジング株式会社への早期相談が、円満解決への近道です。
兄弟だからと安心せず、将来起こりうるリスクを直視し、元気で話し合いができる今のうちに行動を起こすことが、あなたとあなたの家族の資産と未来を守るために最も重要なことです。
Writer:kitamura