News 共有持分売却の全知識|夫婦・兄弟トラブル解決の最適解
目次
まずはじめに・・
「夫婦で共有名義にしている家のことで、毎日喧嘩が絶えない…」 「親から相続した実家を兄弟で共有しているけど、意見が合わず、固定資産税の負担だけが続いている…」
共有名義の不動産をめぐる夫婦喧嘩や兄弟間の対立は、非常に根深く、精神的にも大きな負担となります。関係が悪化してしまい、相手と顔を合わせたくない、話し合いすらしたくないという方も少なくないでしょう。
この記事では、そんな八方ふさがりの状況を打開する一つの有効な手段として「共有持分売却」について、専門家の視点から徹底的に解説します。
ご自身の権利(持分)だけを、他の共有者の同意なしに売却する方法です。この記事を読めば、共有持分売却のメリット・デメリットから、具体的な手続き、トラブルを避けるための注意点まで、その全貌を理解できます。
一人で悩み続けるのはもうやめにしませんか?この記事が、あなたが抱える問題解決の第一歩となるはずです。
共有持分とは?同意なしで売却できるのか
共有持分の売却を検討する前に、まずは「共有持分」とは何か、そして本当に他の共有者の同意なしに売却できるのか、基本的な知識を正しく理解しておきましょう。
共有持分と共有名義の基本的な意味
まず、言葉の定義をはっきりさせておきましょう。
- 共有名義 一つの不動産を、夫婦や兄弟など複数人の名義で所有している状態そのものを指します。
- 共有持分 不動産全体に対して、各所有者が持っている権利の割合のことです。例えば、夫婦で5,000万円の家を半額ずつ出して購入した場合、それぞれの共有持分は「2分の1」となります。
この「共有持分」は、それぞれの所有者が持つ独立した財産権です。
結論|自分の持分のみなら同意なしで売却可能
結論から言うと、ご自身の「共有持分」のみであれば、他の共有者(配偶者や兄弟)の同意なしで自由に売却することが可能です。
「不動産の売却には全員の同意が必要じゃないの?」と疑問に思うかもしれません。それは、不動産「全体」を売却する場合の話です。自分の財産である「共有持分」をどう処分するかは、持ち主が単独で決定できます。
民法251条が定める共有物の変更・管理行為
なぜ自分の持分だけなら単独で売却できるのか、その法的根拠は民法にあります。
民法では、共有物の取り扱いを「保存行為」「管理行為」「変更行為」の3つに分類しています。
- 保存行為(各共有者が単独で可能) 物件の価値を維持する行為(例:修繕など)
- 管理行為(持分割合の過半数の同意が必要) 物件を利活用する行為(例:賃貸契約を結ぶなど)
- 変更行為(共有者全員の同意が必要) 物件そのものを物理的・法的に処分する行為(例:不動産全体の売却、増改築など)
不動産「全体」の売却は「変更行為」にあたるため、共有者全員の同意が必要です(民法第251条第1項)。しかし、ご自身の「共有持分」を売却することは、このいずれにも該当せず、個人の財産権の行使として認められています。
なぜ夫婦・兄弟間でトラブルが起きやすいのか
そもそも、なぜ共有名義の不動産はトラブルの火種になりやすいのでしょうか。主な原因は以下の4つです。
- 活用方針の不一致 「売りたい人」「住み続けたい人」「貸したい人」など、それぞれの立場や考えが異なり、意見がまとまりません。
- 金銭的な問題 固定資産税やマンションの管理費・修繕積立金、火災保険料などの費用負担をめぐって対立が生まれます。
- 権利関係の複雑化 共有者の一人が亡くなると、その持分がさらにその相続人に引き継がれ、共有者の数が増えてしまいます(いわゆる「ねずみ算式」の共有者増加)。これにより、話し合いがさらに困難になります。
- 感情的な対立 離婚や相続争いといった背景がある場合、不動産の問題に感情的なしこりが絡み合い、冷静な話し合いができなくなります。
このような状況では、当事者間での解決は極めて困難です。だからこそ、他の共有者と交渉する必要のない「共有持分売却」が有効な選択肢となるのです。
共有持分売却のメリットと重大なデメリット
共有持分売却は、トラブル解決の切り札となり得ますが、実行する前にメリットと、それ以上に重大なデメリットを正確に理解しておく必要があります。
メリット|単独で現金化でき関係を清算できる
共有持分売却の最大のメリットは、他の共有者の意向に関わらず、問題をスピーディーに解決できる点です。
- 単独・迅速な現金化 他の共有者への相談や交渉は一切不要です。ご自身の意思だけで、所有する持分を売却し、まとまった現金を手にすることができます。
- 精神的ストレスからの解放 顔も見たくない相手との不毛な話し合いや、終わりの見えない夫婦喧嘩・兄弟喧嘩から解放されます。不動産をめぐる人間関係の悩みを手放せることは、金銭的なメリット以上に大きいかもしれません。
- 将来のリスクを断ち切れる 固定資産税などの支払い義務から解放されます。また、将来自分の子どもたちにこの複雑な権利関係を相続させてしまうリスクも回避できます。
デメリット|売却価格が市場価格より安くなる
ここからが非常に重要なポイントです。共有持分売却には、無視できないデメリットが存在します。その筆頭が価格の問題です。
共有持分の売却価格は、不動産全体の市場価格に持分割合を掛けた金額よりも、大幅に安くなるのが一般的です。例えば、市場価格4,000万円の不動産の持分2分の1(単純計算で2,000万円の価値)を売却する場合、実際の売却価格は1,000万円~1,400万円程度(市場価格の50%~70%)になるケースが多く見られます。
これは、買い手側が「権利の一部」しか取得できず、その不動産を自由に使えないことや、他の共有者との交渉、最悪の場合は訴訟といった将来のリスクや手間を価格に織り込むためです。
デメリット|一般の不動産会社では扱えない
「家を売るなら近所の不動産屋さんに」と考えるのが普通ですが、共有持分の売却は事情が異なります。
一般の不動産会社(仲介業者)では、共有持分の取り扱いはほぼ不可能です。なぜなら、マイホームを探している一般の個人が、他の誰かと不動産を共有することになる「持分」だけを購入することは、まず考えられないからです。しかし、『北急ハウジング株式会社』は毎年何件もこのようなお取引を致しております。
買い手は専門の買取業者に限定される
では、誰が買ってくれるのでしょうか。
共有持分の買い手は、共有持分を専門に扱う不動産買取業者に事実上限定されます。これらの業者は、持分を買い取った後、法的な知識や交渉ノウハウを駆使して他の共有者と交渉し、最終的に不動産全体の権利をまとめて再販することなどをビジネスモデルとしています。
デメリット|他の共有者との関係悪化リスク
あなたにとってはトラブルからの解放ですが、他の共有者から見れば「ある日突然、見ず知らずの業者が共有者になった」という状況になります。
事前に相談なく売却した場合、相手は裏切られたと感じ、感情的になる可能性があります。これにより、ただでさえ悪化していた関係が、修復不可能なレベルにまでこじれてしまうリスクがあります。多くの専門業者は、売却後の共有者への挨拶や交渉を代行してくれますが、このリスクは念頭に置いておくべきでしょう。
【ケース別】夫婦・兄弟間の共有持分トラブル事例
ここでは、実際に共有持分売却によって解決に至った典型的なトラブル事例を3つご紹介します。ご自身の状況と照らし合わせてみてください。
【離婚】夫婦共有名義の住宅ローンと財産分与
Aさん(妻)は、夫との離婚を考えていましたが、夫婦の共有名義で購入したマンションの処分で話がまとまりませんでした。夫は「自分が住み続けたい」と主張し、売却にも財産分与にも応じません。住宅ローンもまだ残っており、Aさんは精神的に追い詰められていました。
そこでAさんは、共有持分専門の買取業者に相談。自身の持分2分の1を売却し、得た資金で自身のローン残債を完済。夫との関係を清算し、新しい生活をスタートさせることができました。
【相続】兄弟姉妹で意見が割れる実家の活用方針
Bさん(長男)は、亡き親から相続した実家を弟と妹の3人で共有していました。Bさんは実家を残したい、弟はすぐに売却して現金化したい、妹は人に貸して家賃収入を得たいと、三者三様の意見で全く話が進みません。毎年、固定資産税の支払い時期になると、誰が払うかで揉める始末でした。
この不毛な状態に疲弊した弟が、自身の持分3分の1を専門業者に売却。弟は共有関係から離脱し、納税の義務からも解放されました。
【税金】固定資産税の支払い負担をめぐる対立
Cさん(姉)は、遠方に住む弟と、親から相続した土地を共有していました。代表してCさんが毎年固定資産税を全額支払っていましたが、弟に負担分を請求しても「お金がない」の一点張りで応じてもらえません。
長年の立て替えに限界を感じたCさんは、弁護士が提携している買取業者に相談し、自身の持分を売却。売却代金を得ると同時に、毎年の税負担と弟への催促というストレスから解放されました。
【活用】リフォームや賃貸化への不同意
Dさんは、兄弟で共有するアパートの老朽化が進んだため、大規模なリフォームをして資産価値を上げ、賃貸経営を続けたいと考えていました。しかし、他の兄弟は「リフォーム費用を負担したくない」と反対。かといって売却にも同意せず、アパートは空室が増え、価値が下がる一方でした。
このままでは負の遺産になると考えたDさんは、自身の持分を専門業者に売却。塩漬け状態の不動産から資産を切り離し、その資金を別の投資に回すことができました。
共有持分売却の4ステップと具体的な手続きの流れ
「自分も売却したい」と考えた方のために、相談から現金化までの具体的な流れを4つのステップで解説します。専門業者に依頼すれば、手続きの大部分は代行してもらえるため、思ったより簡単だと感じるかもしれません。
ステップ1|共有持分専門の買取業者へ無料相談
まずは、インターネットなどで共有持分を専門に扱う買取業者を探し、無料相談を申し込みます。この段階で、物件の状況や他の共有者との関係性などを正直に伝えることが、スムーズな進行の鍵です。多くの業者が電話やオンラインでの相談に対応しています。
ステップ2|物件査定と買取価格の提示
相談内容に基づき、業者が物件の査定を行います。登記簿謄本などの資料や、場合によっては現地調査を行い、買取価格を算出します。査定には通常数日~1週間程度かかります。その後、正式な買取価格が提示されます。
ステップ3|売買契約の締結と必要書類の準備
提示された価格や条件に納得できれば、業者と売買契約を締結します。同時に、持分を移転するための登記手続きに必要な書類を準備します。
- 主な必要書類
- 登記済権利証(または登記識別情報通知)
- 印鑑証明書(発行から3ヶ月以内のもの)
- 実印
- 本人確認書類(運転免許証、マイナンバーカードなど)
- 固定資産評価証明書
ステップ4|決済(売却代金の受領)と持分移転登記
司法書士の立ち会いのもと、売買代金の残金を受け取ります。これと同時に、司法書士が法務局へ所有権(持分)の移転登記を申請します。この決済・登記手続きが完了した時点で、あなたの持分売却はすべて完了です。相談から決済まで、早ければ1~2週間程度で完了するケースもあります。
売却以外の解決策とメリット・デメリット比較
共有持分売却は強力な手段ですが、唯一の解決策ではありません。他の方法と比較し、ご自身の状況にとって何が最適かを見極めましょう。
解決策1|他の共有者へ持分の買取を交渉する
あなたの持分を、配偶者や兄弟など他の共有者に買い取ってもらう方法です。
- メリット 関係性が良好で、相手に資金力があれば、最も円満な解決策です。市場価格に近い価格で売却できる可能性があります。
- デメリット 相手に買い取る意思や資金がなければ成立しません。価格交渉で新たに関係が悪化するリスクもあります。
解決策2|共有物分割請求訴訟で解決を図る
話し合いでの解決が不可能な場合に、裁判所に共有状態の解消を求める法的手続きです。
- メリット 裁判所の命令により、強制的に共有関係を解消できます。
- デメリット 弁護士費用など高額な費用と、半年~数年という長い時間がかかります。最終的に競売(けいばい)になると、売却価格は市場の5~7割程度まで下がることも多く、共有者との関係は完全に破綻します。
解決策3|全員の同意を得て不動産全体を売却する
理想的な解決策ですが、実現のハードルは最も高い方法です。
- メリット 不動産「全体」を一般市場で売却するため、最も高値で売れる可能性があります。
- デメリット 共有者の一人でも反対すれば実現しません。そもそも全員の同意が得られるなら、この記事を読んでいないかもしれません。各解決策の費用・期間・リスク比較表
| 共有持分売却 | 市場価格の5~7割 | 1週間~1ヶ月 | ほぼ無し | ◎ 容易 |
| 他の共有者へ売却 | 市場価格に近い | 数ヶ月~ | ほぼ無し | △ 困難 |
| 共有物分割請求 | 市場価格の5~7割 | 半年~数年 | 高額 | ○ 可能 |
| 全員で全体売却 | 市場価格 | 数ヶ月~ | 仲介手数料等 | × 非常に困難 |
失敗しない共有持分専門の買取業者の選び方
共有持分売却の成否は、パートナーとなる買取業者選びにかかっていると言っても過言ではありません。以下の4つのポイントを必ずチェックしましょう。
豊富な買取実績と専門知識の有無を確認
公式サイトなどで、これまでの買取実績(件数や事例)が公開されているかを確認しましょう。共有持分に特化し、長年の経験を持つ業者は、様々なトラブル案件に対応できるノウハウを持っています。
弁護士との連携体制が整っているか
共有持分トラブルは、法律問題と密接に関わっています。弁護士と緊密に連携している、あるいは社内に弁護士がいる業者は、法的なリスク管理能力が高く、信頼できます。売却後の他の共有者との交渉も、法律の専門家がバックにいれば安心です。
明確な査定根拠と交渉プロセスの透明性
「なぜこの買取価格になるのか?」という問いに対して、査定の根拠を分かりやすく、丁寧に説明してくれる業者を選びましょう。また、売却後に他の共有者とどのような交渉を行うのか、そのプロセスを事前に明確に説明してくれるかどうかも重要な判断基準です。
複数の業者から相見積もりを取得する
必ず2~3社以上の専門業者に相談し、相見積もりを取りましょう。これは、単に一番高い価格を提示した業者を選ぶためだけではありません。各社の担当者の対応、提案内容、専門性を比較検討し、最も信頼できるパートナーを見つけるために不可欠なプロセスです。
共有持分売却に関するよくある質問
最後に、共有持分売却を検討する際によく寄せられる質問にお答えします。
売却にかかる費用や税金は何か?
- 費用 専門業者による直接買取の場合、仲介手数料はかかりません。ただし、売買契約書に貼る印紙税や、登記を代行する司法書士への報酬などの実費は必要です。
- 税金 売却によって利益(譲渡所得)が出た場合、譲渡所得税・住民税がかかります。不動産を取得した時より高く売れた場合に発生する税金で、所有期間などによって税率が変わります。(※短期保有or長期保有)
住宅ローンが残っていても売却できる?
住宅ローンが残っていても、共有持分の売却は可能です。ただし、原則として、ご自身の持分に相当するローン残債を、売却代金で一括返済する必要があります。金融機関との調整が必要になるため、ローンが残っている場合は、必ず相談時に業者へ伝えましょう。
売却したことは他の共有者に知られる?
はい、最終的には必ず知られます。売却が完了し、持分の移転登記が行われると、法務局の登記簿謄本に新しい所有者(買取業者)の名前が記載されます。これを見れば、誰でも所有者が変わったことを確認できます。通常は、買取業者が登記完了後に他の共有者へ連絡を取り、今後の管理などについて交渉を開始します。
売却後のトラブルを避けるための注意点
売買契約書の内容を隅々まで確認することが最も重要です。特に、「契約不適合責任(旧:瑕疵担保責任)」の免責に関する条項や、売却後の他の共有者との交渉はすべて買取業者が責任を持って行う旨が明記されているかを確認しましょう。不明な点があれば、契約前に必ず質問し、納得できるまで説明を求めてください。
まとめ
共有名義の不動産をめぐる夫婦・兄弟間のトラブルは、当事者だけで解決しようとすると、時間と労力を浪費し、精神的に疲弊してしまいます。
今回解説した「共有持分売却」は、そんな膠着状態を打ち破るための、現実的で有効な選択肢です。
- ご自身の持分のみであれば、他の共有者の同意なく、単独で売却できる
- 面倒な交渉から解放され、スピーディーに現金化できるメリットがある
- 一方で、売却価格が市場価格より安くなるなどの重大なデメリットも存在する
- 成功の鍵は、法律知識と交渉力を持つ、信頼できる専門の買取業者を見つけること
もしあなたが今、共有不動産の問題で深く悩んでいるなら、一人で抱え込まずに、まずは一歩踏み出してみませんか。
多くの共有持分専門業者は、無料で相談に応じてくれます。複数の業者に話を聞いてみるだけでも、あなたの状況を客観的に把握でき、新たな解決の糸口が見つかるかもしれません。この記事が、あなたが前に進むためのきっかけとなれば幸いです。