News 団信の三大疾病特約は必要?使える人・使えない人の条件は?
目次
まずはじめに・・
マイホーム購入に向けて住宅ローンを検討し始めると、必ず耳にする「団体信用生命保険(団信)」。さらに、金融機関から「三大疾病保障特約を付けますか?」と尋ねられ、保障を手厚くしたいけれど返済額は増やしたくない、と悩んでいませんか?
「そもそも三大疾病特約って何?」 「持病があるけど、自分は加入できるの?」 「金利を上乗せしてまで、本当に必要なんだろうか?」
この記事は、そんなあなたのための徹底解説ガイドです。団信の基本的な仕組みから、三大疾病特約の保障内容、そして最も気になる「使える人・使えない人」の加入条件まで、専門用語を避け、わかりやすく説明します。
この記事を読めば、あなたとご家族にとって最適な選択をするための知識が身につき、自信を持って住宅ローンの契約に臨めるようになります。
三大疾病特約付き団信とは?
まず、住宅ローンを組む上で基本となる「団信」と、そのオプションである「三大疾病特約」について正しく理解しましょう。
団体信用生命保険(団信)の仕組み
**団体信用生命保険(だんたいしんようせいめいほけん)**とは、住宅ローン専用の生命保険のことです。多くの金融機関で加入が義務付けられています。
この保険の最大の役割は、住宅ローン契約者に万が一のことがあった場合に、保険金で残りの住宅ローン全額が完済されることです。
具体的には、契約者が以下の状態になったときに保障が適用されます。
- 死亡したとき
- 所定の高度障害状態になったとき
もし団信に加入していなければ、残された家族が住宅ローンを返済し続けなければなりません。団信は、家族を「家」と「ローン返済の負担」から守るための、非常に重要な仕組みなのです。
三大疾病保障の対象範囲と支払い条件
三大疾病保障特約は、上記の死亡・高度障害保障に加えて、日本人の死因上位を占める特定の病気にも備えるためのオプションです。
一般的に、以下の3つの病気が対象となります。
- がん(悪性新生物)
- 急性心筋梗塞
- 脳卒中
ただし、注意が必要なのは「診断されたら即、ローンが0円になる」わけではない点です。保険金が支払われるためには、各金融機関が定める「所定の状態」を満たす必要があります。
- がん 多くの場合、「初めてがんと診断確定された」時点で保障の対象となります。ただし、皮膚の悪性黒色腫以外の皮膚がんや上皮内がんなどは対象外となるケースが一般的です。
- 急性心筋梗塞・脳卒中 「発病し、初めて医師の診療を受けた日から60日以上、労働の制限を必要とする状態が継続した」あるいは「所定の手術を受けた」といった条件が定められていることが多く、診断されただけでは保障の対象にならない場合があります。
これらの支払い条件は金融機関によって異なるため、契約前に必ず詳細を確認することが重要です。
金利上乗せと総返済額シミュレーション
三大疾病特約を付けると、手厚い保障が得られる代わりに、住宅ローンの適用金利に年0.2%〜0.3%程度の金利が上乗せされるのが一般的です。
たった0.2%と感じるかもしれませんが、返済期間が長期にわたる住宅ローンでは、総返済額に大きな差が生まれます。
【シミュレーション条件】
- 借入額:3,000万円
- 返済期間:35年
- 返済方法:元利均等返済
- 基準金利:年5%
| 毎月の返済額 | 77,876円 | 80,462円 | +2,586円 |
| 総返済額 | 32,707,786円 | 33,793,933円 | +1,086,147円 |
この例では、三大疾病特約を付けることで、月々の返済額が約2,600円、総返済額では100万円以上も増加します。この負担増と、万が一のときの安心を天秤にかけて、必要性を判断する必要があるのです。
使える人・使えない人の加入条件
団信や三大疾病特約は、誰もが自由に加入できるわけではありません。生命保険の一種であるため、加入時には健康状態に関する審査があります。ここでは、加入できるかどうかの分かれ目となるポイントを解説します。
審査基準となる「告知事項」の内容
団信に申し込む際は、**過去の病歴や現在の健康状態について、保険会社に正しく申告する「告知義務」**があります。この告知内容をもとに、保険会社は加入の可否を判断します。
主な告知事項は以下の通りです。
- 最近3ヶ月以内の治療・投薬歴 医師の診察、検査、治療、投薬を受けたか。
- 過去3年以内の病歴 下記の病気で、手術または2週間以上にわたる医師の治療・投薬を受けたことがあるか。 (例:高血圧症、糖尿病、心臓病、脳の病気、がん、うつ病など)
- 手足の欠損や機能障害 手や足の欠損または機能に障害があるか。背骨や視力、聴力などに異常はないか。
これらの質問に「はい」と答えた場合、さらに詳しい症状や治療内容などを「告知書」に記載する必要があります。この告知は正直に行うことが極めて重要です。
加入できない主な病歴・健康状態の例
一般的に、以下のような病歴や健康状態の場合、団信(特に三大疾病特約)への加入は難しくなる傾向があります。
- がん(悪性新生物)の既往歴
- 心筋梗塞、脳卒中の既往歴
- コントロールが不安定な高血圧症や糖尿病
- 肝硬変
- うつ病などの精神疾患で、現在も治療中
- ペースメーカーを装着している
ただし、これらはあくまで一般的な傾向です。最終的な判断は保険会社が行うため、該当するからといって諦める必要はありません。
持病があっても加入できるケース
告知事項に該当する病歴があっても、必ずしも審査に落ちるわけではありません。大切なのは、現在の健康状態が良好にコントロールされていることです。
例えば、以下のようなケースでは加入できる可能性があります。
- 高血圧症 降圧剤を服用し、血圧値が安定している。
- 糖尿病 食事療法や運動、投薬によって血糖値がコントロールされており、合併症がない。
- 完治した病気 手術などを受けて完治し、その後一定期間(例:5年以上)再発や治療がない。
- 軽度の疾患 治療がすでに終了しており、後遺症もない。
「持病があるから無理だろう」と自己判断せず、まずは正直に告知して審査を受けてみることが重要です。
審査に落ちた場合の対処法
もし一般の団信や三大疾病特約の審査に落ちてしまった場合でも、マイホームを諦める必要はありません。以下の対処法を検討しましょう。
- 引受基準緩和型の「ワイド団信」を検討する 告知項目が少なく、持病がある方でも加入しやすい団信です。金利はさらに上乗せされますが、住宅ローンを組むための選択肢となります。
- 団信加入が任意の「フラット35」を利用する フラット35は団信への加入が必須ではありません。ただし、万が一に備えて、別途民間の生命保険(収入保障保険など)に加入することを強くおすすめします。
これらの対処法については、後の章で詳しく解説します。
三大疾病特約の必要性判断基準
金利を上乗せしてまで三大疾病特約を付けるべきか、非常に悩ましい問題です。ここでは、メリット・デメリットを整理し、どのような人に必要性が高いのかを考えていきましょう。
メリットは住宅ローン残高の返済免除
三大疾病特約の最大のメリットは、もしもの時に数千万円にもなる住宅ローンの返済義務がなくなるという絶大な安心感です。
三大疾病にかかると、治療が長期化したり、後遺症で以前のように働けなくなったりして、収入が大幅に減少するリスクがあります。そのような状況で住宅ローンの返済が続くと、家計が破綻し、最悪の場合、家を手放さなければならないかもしれません。
三大疾病特約は、こうした経済的なリスクから家族と生活を守るための強力なセーフティネットになります。
デメリットは金利上乗せによる返済額増
一方、最大のデメリットは、毎月の返済額と総返済額が増加することです。先ほどのシミュレーションのように、総額で100万円以上の差が出ることもあります。
もし三大疾病にならずに住宅ローンを完済した場合、この上乗せ分は「安心のための保険料」だったと考えることになります。このコストを許容できるかどうかが、判断の分かれ目です。
三大疾病特約の加入がおすすめな人
以下の項目に当てはまる方は、三大疾病特約の必要性が高いと言えるでしょう。
- 貯蓄が少ない、または住宅購入で貯蓄の大部分を使ってしまう人 万が一の際に、治療費と住宅ローン返済を両立するのが困難なため。
- 自営業やフリーランスの人 会社員と比べて傷病手当金などの公的保障が手薄なため、働けなくなったときのリスクが大きい。
- 家計を一人で支えている人 自身の収入が途絶えると、家族の生活が直接的に困窮してしまうため。
- 家系にがんや心臓病、脳卒中になった人がいるなど、健康に不安がある人 リスクに備えたいという気持ちが強い場合。
三大疾病特約が不要と考えられる人
一方で、以下のような方は、三大疾病特約を付けないという選択も考えられます。
- 十分な貯蓄があり、万が一の際の治療費や当面の生活費を賄える人 ローン返済を継続できる経済的体力がある場合。
- 民間の医療保険や就業不能保険で、手厚い保障をすでに準備している人 保障が重複する可能性があるため、既存の保険内容を見直した上で判断する。
- 共働きで、片方の収入が途絶えても、もう片方の収入でローン返済を継続できる人 家計のダメージを分散できる場合。
- 健康に自信があり、リスクよりもコストを重視する人 上乗せ金利分の負担を避け、その分を貯蓄や投資に回したいと考える場合。
団信の種類と保障内容の比較
団信には、基本的な保障から手厚い特約付きのものまで、いくつかの種類があります。それぞれの特徴を理解し、自分に合ったものを選びましょう。
一般団信(死亡・高度障害保障)
最も基本的な団信です。住宅ローン契約者が死亡、または所定の高度障害状態になった場合に、ローン残高が0円になります。多くの金融機関では、この一般団信の保険料は金利に含まれており、追加の負担はありません。
がん保障特約付き団信
一般団信の保障に加えて、がんと診断確定された場合にローン残高が0円になる特約です。金融機関によっては、ローン残高の50%が保障される「がん50%保障」などもあります。一般的に、金利が**年0.1%〜0.2%**程度上乗せされます。
三大疾病保障特約付き団信
本記事で解説している特約です。一般団信の保障に加えて、がん・急性心筋梗塞・脳卒つで所定の状態になった場合にローン残高が0円になります。金利は**年0.2%〜0.3%**程度上乗せされるのが一般的です。さらに保障範囲を広げた「八大疾病」「十一疾病」といった特約を用意している金融機関もあります。
ワイド団信(引受基準緩和型)
健康上の理由で一般の団信に加入できない方向けの団信です。告知項目が少なく設定されており、高血圧症や糖尿病などの持病がある方でも加入しやすくなっています。ただし、金利は一般的に**年0.3%**程度上乗せとなり、保障内容は一般団信(死亡・高度障害のみ)と同じであることが多いです。
主要金融機関の団信比較表
主要なネット銀行を中心に、団信のラインナップと金利上乗せ幅を比較してみましょう。
| auじぶん銀行 | 金利上乗せなし | 年+0.15% | – | 年+0.3% |
| PayPay銀行 | – | 金利上乗せなし | – | 年+0.3% |
| 住信SBIネット銀行 | 金利上乗せなし | 年+0.2% | 年+0.2% | 年+0.3% |
| 楽天銀行 | 金利上乗せなし | 年+0.2% | – | 年+0.3% |
※2024年5月時点の情報です。保障内容や金利は変更される可能性があるため、必ず各金融機関の公式サイトで最新情報をご確認ください。 ※上記以外にも、全疾病保障など、より手厚い保障を提供している金融機関もあります。
このように、金融機関によって金利上乗せの有無や保障内容が大きく異なります。「がん50%保障」が無料で付帯する銀行も多く、住宅ローンを選ぶ際の重要な比較ポイントになります。
団信に加入できない場合の代替案
万が一、団信の審査に通過できなかったとしても、マイホームの夢を諦める必要はありません。いくつかの代替案があります。
引受基準緩和型の「ワイド団信」を検討
**持病がある方のための最初の選択肢が「ワイド団信」**です。一般の団信よりも告知項目が少なく、加入のハードルが低く設定されています。
例えば、「高血圧症で服薬中」という理由で一般団信の審査に落ちた方でも、ワイド団信であれば加入できる可能性があります。ただし、金利が年0.3%程度上乗せされるため、返済額の負担は増えます。まずはワイド団信を取り扱っている金融機関に相談してみましょう。
団信加入が任意のフラット35
住宅金融支援機構が提供する「フラット35」は、団信への加入が任意です。そのため、健康上の理由で団信に加入できない方でも住宅ローンを組むことができます。
ただし、団信に加入せずにローンを組むのは非常に大きなリスクを伴います。もし契約者に万が一のことがあった場合、残された家族がローンを全額返済しなければなりません。
生命保険でのローン残高カバー
フラット35を利用する際は、万が一の事態に備えて、民間の生命保険で保障を確保することが不可欠です。具体的には、以下のような保険が考えられます。
- 収入保障保険 被保険者が死亡または高度障害状態になった場合に、毎月お給料のように一定額の保険金が受け取れる保険。住宅ローンの月々の返済額をカバーできます。
- 終身保険 一生涯の死亡保障。保険金額をローン残高に合わせて設定することで、死亡時にローンを完済できます。
すでに加入している生命保険がある場合は、その保障内容で住宅ローンをカバーできるか確認し、不足するようであれば追加で加入を検討しましょう。
三大疾病団信のよくある質問
最後に、三大疾病特約付き団信に関してよく寄せられる質問にお答えします。
告知義務違反だと保険金はおりない?
はい、保険金はおりません。 故意または重大な過失によって、事実を告知しなかったり、事実と違うことを告知したりした場合、「告知義務違反」とみなされます。これが発覚すると、保険契約が解除され、いざという時に保険金が支払われないだけでなく、最悪の場合、住宅ローンの一括返済を求められるリスクもあります。健康状態は必ず正直に申告してください。
三大疾病になったらすぐ返済免除?
いいえ、すぐではありません。 前述の通り、特に急性心筋梗塞や脳卒中では、「60日以上の労働制限」などの支払い条件が定められていることがほとんどです。がんであっても、診断確定から支払い手続き完了までには一定の時間がかかります。保障が適用されるまでの期間は、貯蓄や他の保険で備える必要があります。
住宅ローン契約の途中から加入できる?
原則として、途中加入はできません。 団信やその特約は、住宅ローンの新規契約時にしか申し込むことができません。後から「やっぱり付けておけばよかった」と後悔しないよう、契約時にしっかりと検討することが重要です。
うつ病や脳梗塞の既往歴でも入れる?
ケースバイケースであり、審査を受けてみないとわかりません。 うつ病などの精神疾患や脳梗塞の既往歴は、審査が厳しくなる傾向にあります。しかし、完治からの経過期間や現在の症状、服薬状況などによって判断は異なります。まずは正直に告知して審査を申し込むことが第一歩です。もし一般団信が難しければ、ワイド団信であれば加入できる可能性があります。
まとめ
今回は、住宅ローンの三大疾病特約について、その仕組みから必要性の判断基準、そして「使える人・使えない人」の条件まで詳しく解説しました。
最後に、この記事の重要なポイントを振り返りましょう。
- 三大疾病特約とは 死亡・高度障害に加えて、がん・急性心筋梗塞・脳卒中で「所定の状態」になった場合にローンが0円になるオプション。
- メリットとデメリット メリットは万が一の際の絶大な安心感。デメリットは年2%〜0.3%程度の金利上乗せによる返済額の増加。
- 加入できるかの判断 健康状態の「告知」が重要。持病があっても、症状が安定していれば加入できる可能性はある。自己判断せず審査を受けることが大切。
- 必要性の判断 貯蓄額、働き方、家族構成、健康への考え方などを総合的に考慮して、コストと安心を天秤にかける。
- もし加入できなくても 「ワイド団信」や「フラット35+民間保険」といった代替案があるため、諦める必要はない。
三大疾病特約は、あなたと家族の未来を守るための心強い味方になり得ます。しかし、そのためのコストも決して小さくはありません。
この記事を参考に、ご自身のライフプランや価値観に照らし合わせ、ご家族ともよく話し合って、後悔のない選択をしてください。
writer:kitamura