News 新NISAのデメリットとメリットを徹底解説!やめたほうがいい?
目次
まずはじめに・・
「新NISAを始めないと損」「老後資金2,000万円問題の解決策」といった言葉を耳にする機会が増え、気になっている方も多いのではないでしょうか。
しかし同時に、「投資は怖い」「デメリットしかないって本当?」「やめたほうがいいという意見も見るけど…」といった不安から、一歩を踏み出せない方も少なくないはずです。
この記事では、そんなあなたの不安を解消するために、新NISAのデメリットや注意点を徹底的に、そして正直に解説します。その上で、デメリットを上回る可能性のある大きなメリットと比較し、あなたが本当に新NISAを始めるべきかを判断するための材料を分かりやすく提供します。
この記事を最後まで読めば、新NISAの「本当の姿」を理解し、自信を持って資産形成の第一歩を踏み出せるようになるでしょう。
新NISAのデメリットと注意点
新NISAは素晴らしい制度ですが、もちろん良いことばかりではありません。始める前に必ず知っておくべきデメリットや注意点が存在します。まずは、最も重要なポイントから見ていきましょう。
元本割れのリスクがある
新NISAにおける最大の注意点は、投資である以上、元本割れのリスクがあることです。
元本割れとは、投資した金額よりも、保有している金融商品の価値が下落してしまう状態を指します。銀行の預金とは異なり、元本が保証されているわけではありません。
投資先の株価や経済情勢は常に変動しているため、購入した時よりも価値が下がる可能性は誰にでもあります。この「元本割れリスク」を理解し、受け入れることがNISAを始める上での大前提となります。
損益通算・繰越控除ができない
少し専門的な話になりますが、これも重要なデメリットです。新NISA口座での取引は、損益通算や繰越控除の対象になりません。
- 損益通算 通常の課税口座(特定口座など)であれば、複数の口座で出た利益と損失を合算して、全体の利益を圧縮し、税金を減らすことができます。しかし、NISA口座で出た損失は、他の課税口座の利益と相殺することはできません。
- 繰越控除 その年に相殺しきれなかった損失を、翌年以降3年間にわたって繰り越し、将来の利益と相殺できる制度です。これもNISA口座の損失には適用されません。
つまり、NISA口座で発生した損失は、税制上は「なかったもの」として扱われると覚えておきましょう。
短期売買には向いていない
新NISAは、デイトレードのような短期的な売買で利益を狙う投資スタイルには向いていません。
その最大の理由は、次の項目で解説する「年間投資枠の再利用」が関係しています。頻繁に売買を繰り返すと、あっという間にその年の非課税枠を使い切ってしまい、本当に買いたいタイミングで投資できなくなる可能性があります。
そもそも新NISAは、長期的な資産形成を支援するための制度設計になっているため、短期的な値動きで利益を追求する目的とは相性が悪いのです。
年間投資枠の再利用は翌年以降になる
新NISAでは、保有している商品を売却した場合、その商品の簿価(取得価額)分の非課税枠が復活します。しかし、その枠が復活して再利用できるのは翌年以降です。
例えば、2024年の初めに100万円分の投資信託を購入し、その年のうちに売却したとします。この場合、使った100万円分の投資枠が2024年中に復活することはありません。この100万円分の枠が再び使えるようになるのは、2025年になってからです。
このルールがあるため、短期的な視点で気軽に売買すると、その年の非課税の恩恵を十分に活かせなくなるので注意が必要です。
旧NISAからのロールオーバーは不可
2023年までの旧NISA(一般NISA・つみたてNISA)で資産を運用していた方は注意が必要です。
旧NISAから新NISAへ資産を直接移管する「ロールオーバー」はできません。旧NISAと新NISAは完全に別の制度として扱われます。
旧NISAで保有している商品は、それぞれの非課税期間が終了するまでそのまま保有し続けるか、一度売却して現金化し、その資金で改めて新NISAの非課税枠を使って投資し直す必要があります。
「デメリットしかない」と言われる理由
インターネット上では「新NISAはデメリットしかない」「やめたほうがいい」といった極端な意見を見かけることがあります。なぜ、そのように言われてしまうのでしょうか。その背景には、いくつかの典型的な失敗パターンや誤解があります。
短期的な値動きで売却してしまう
投資を始めたばかりの人が陥りがちなのが、日々の価格変動に一喜一憂してしまうことです。
購入した投資信託の基準価額が少し下がっただけで怖くなり、「これ以上損をしたくない」と焦って売却してしまう(狼狽売り)。その結果、小さな損失が確定してしまい、「やっぱりNISAは儲からない、損するだけだ」という結論に至ってしまうのです。
長期的な視点を持てずに短期的な値動きだけで判断してしまうことが、「デメリットしかない」という感想につながる最大の原因と言えるでしょう。
リスク許容度を超えた投資をしてしまう
「リスク許容度」とは、ご自身が精神的・経済的にどの程度の損失まで耐えられるか、という度合いのことです。
周りの成功体験談に煽られたり、「早く儲けたい」という気持ちが先行したりして、生活に必要な資金まで投資に回してしまうケースがあります。自分のリスク許容度を超えた金額で投資をすると、少しの値下がりでも冷静な判断ができなくなり、生活への不安も大きくなります。
結果的に大きな損失を被ってしまい、「こんなはずじゃなかった」という後悔から「NISAなんてやるべきではない」という考えに至るのです。
手数料の高い商品を選んでしまう
新NISAで選べる商品は数多くありますが、中には販売手数料や信託報酬(運用管理費用)といったコストが高い商品も含まれています。
特に、金融機関の窓口で勧められるがままに商品を選んでしまうと、知らず知らずのうちに手数料の高い商品を購入していることがあります。手数料が高いと、せっかく運用で利益が出てもその多くがコストとして差し引かれてしまい、資産が思うように増えません。
「NISAを続けているのに全然増えない」という不満が、「NISAは意味がない、デメリットだらけだ」という誤解につながることがあります。
非課税の恩恵を理解していない
新NISAの最大のメリットは「運用益が非課税になる」ことですが、この恩恵の大きさを実感できていないケースもあります。
投資額が少なかったり、運用期間が短かったりすると、得られる利益も小さいため、非課税になる金額もわずかです。「税金が少しだけ安くなるくらいなら、元本割れリスクを取る価値はない」と感じてしまうのです。
非課税のメリットは、長期運用によって利益が雪だるま式に増えていく(複利効果)ほど絶大な効果を発揮します。この長期的な視点が欠けていると、デメリットばかりが目についてしまうのです。
デメリットを上回る新NISAのメリット
ここまでデメリットや注意点を詳しく見てきましたが、もちろん新NISAにはそれを上回る可能性のある、非常に大きなメリットがあります。デメリットと正しく比較検討してみましょう。
運用益がすべて非課税になる
これが新NISAの最大のメリットです。通常、株式や投資信託の売却益や配当金・分配金には、**約20%(20.315%)**の税金がかかります。
しかし、NISA口座内で得た利益には、この税金が一切かかりません。
例えば、投資で100万円の利益が出たとします。
- 通常の課税口座: 税金が約20万円引かれ、手取りは約80万円
- NISA口座: 税金は0円。100万円がまるまる手元に残る
運用期間が長くなり、利益が大きくなるほど、この非課税の恩恵は絶大なものになります。
非課税保有期間が無期限化
旧NISAでは、非課税で資産を保有できる期間に限りがありました(つみたてNISA:最長20年、一般NISA:最長5年)。
しかし、新NISAではこの非課税保有期間が無期限になりました。これにより、期間を気にすることなく、ご自身の好きなタイミングで売却するまで、ずっと非課税の恩恵を受けながら資産を育て続けることができます。老後資金など、超長期での資産形成を考える上で非常に大きなメリットです。
年間投資枠が最大360万円に拡大
新NISAでは、年間に投資できる上限額が大幅に拡大されました。
- つみたて投資枠: 年間120万円まで
- 成長投資枠: 年間240万円まで
この2つの枠は併用可能で、合計で年間最大360万円まで投資できます。さらに、生涯にわたって非課税で保有できる上限額として1,800万円の「生涯非課税保有限度額」が設定されています。
これにより、旧NISAよりもスピーディーかつ柔軟に、まとまった金額の資産形成を目指せるようになりました。
いつでも好きな時に売却・換金できる
老後の資産形成を目的とした制度にはiDeCo(個人型確定拠出年金)もありますが、iDeCoは原則として60歳まで資産を引き出すことができません。
一方、新NISAはいつでも好きなタイミングで商品を売却し、現金化することが可能です。この流動性の高さは大きなメリットと言えるでしょう。
子どもの教育資金、住宅購入の頭金、車の買い替えなど、老後資金以外のさまざまなライフイベントにも柔軟に対応できます。
長期的資産形成と短期売買の考え方
新NISAを最大限に活用するためには、「長期的資産形成」と「短期売買」の違いを正しく理解し、適切な戦略をとることが重要です。
基本戦略は長期・積立・分散投資
新NISAで成功するための王道は、**「長期・積立・分散」**の3つを実践することです。
- 長期 10年、20年といった長い時間をかけて運用することで、複利の効果(利益が利益を生む効果)を最大化し、一時的な価格下落のリスクを時間によって平準化します。
- 積立 毎月1万円など、定期的に一定額を買い続けることで、価格が高い時には少なく、安い時には多く買うことができます(ドルコスト平均法)。これにより、平均購入単価を抑える効果が期待できます。
- 分散 投資先を特定の国や資産に集中させるのではなく、さまざまな国・地域(全世界など)や資産(株式、債券など)に分けることで、特定の市場が暴落した際のリスクを低減します。
この3つを組み合わせることで、元本割れのリスクを抑えながら、安定的な資産の成長を目指すことができます。
短期売買は非課税メリットを活かせない
繰り返しになりますが、新NISAは短期売買には不向きです。
年間投資枠の再利用が翌年以降になるため、頻繁な売買は非効率です。また、NISAの非課税メリットは、長期運用で利益が大きくなった時にこそ真価を発揮します。数ヶ月程度の短期的な利益に対して非課税の恩恵を受けても、その効果は限定的です。
短期的な値動きを正確に予測することはプロの投資家でも極めて困難であり、初心者が手を出すと大きな損失につながる危険性が高いと言えます。
つみたて投資枠の活用法
「つみたて投資枠」は、「長期・積立・分散」投資を実践するのに最適な設計になっています。
対象商品は、金融庁が定めた基準をクリアした、長期投資に適した低コストの投資信託などに限定されています。そのため、投資初心者の方でも比較的迷わずに商品を選びやすいというメリットがあります。
まずはこの「つみたて投資枠」を使い、全世界株式(オール・カントリー)や米国株式(S&P500)などに連動するインデックスファンドを毎月コツコツ積み立てていくのが、資産形成の第一歩として最もおすすめです。
成長投資枠の活用法
「成長投資枠」は、つみたて投資枠の対象商品に加えて、個別株式やアクティブファンドなど、より幅広い商品に投資できる自由度の高い枠です。
活用法としては、つみたて投資枠でのコア(中核)となる積立投資を補完する「サテライト(衛星)」的な位置づけで利用するのが良いでしょう。
- つみたて投資枠と同じインデックスファンドへの追加投資で、積立額を増やす
- 高配当株に投資し、非課税で配当金を受け取る
- 応援したい企業の個別株に投資する
ただし、自由度が高い分、リスクの高い商品も選べてしまうため、投資に慣れないうちは慎重に商品を選ぶ必要があります。
新NISAが向いている人・向いていない人
ここまで解説してきた内容を踏まえ、あなたが新NISAに向いているか、そうでないかをチェックしてみましょう。
向いている人:長期的な視点で資産形成
- 10年、20年、30年といった長いスパンで、将来の老後資金や子どもの教育資金などをコツコツ準備したいと考えている人。
- 日々の価格の上下に一喜一憂せず、どっしりと構えて資産が育つのを待てる人。
向いている人:余剰資金で投資できる
- 生活防衛資金(万が一に備えるお金。一般的に生活費の3ヶ月〜1年分)を預貯金で確保している人。
- 当面使う予定のない「余剰資金」で、無理のない範囲から投資を始められる人。
向いていない人:短期で利益を出したい
- 数ヶ月や1年といった短い期間で、売買を繰り返して大きな利益を狙いたい人。
- デイトレードやスイングトレードといった投資手法に興味がある人。このような方は、NISAではなく通常の課税口座を利用する方が適しています。
向いていない人:元本保証を求める
- **「1円たりとも資産を減らしたくない」**と考えている人。
- 投資のリスクを一切受け入れたくない人。このような方は、NISAではなく、安全性の高い預貯金や個人向け国債などが適しています。
新NISAに関するよくある質問
最後に、新NISAに関して多くの方が抱く疑問にお答えします。
途中で引き出すデメリットは?
- 途中で引き出すこと自体に、手数料やペナルティのような直接的なデメリットはありません。 ただし、先述の通り、商品を売却して空いた非課税枠が復活するのは翌年以降になります。そのため、その年に投資できる上限額が減ってしまう点が、間接的なデメリットと言えるでしょう。
制度が今後改悪される可能性は?
- 将来的に制度が変更される可能性はゼロではありません。 しかし、新NISAは「資産所得倍増プラン」という国の重要な政策の柱です。国民の安定的な資産形成を後押しする目的があるため、すぐに利用者にとって著しく不利になるような「改悪」が行われる可能性は低いと考えられます。万が一制度が変更されたとしても、それまでに投資した分が無効になるようなことは考えにくいでしょう。
楽天証券やSBI証券のデメリットは?
- 楽天証券やSBI証券といったネット証券は、手数料の安さや取扱商品の豊富さから非常に人気があり、NISA口座を開設する上で有力な選択肢です。 強いてデメリットを挙げるとすれば、対面で相談できる窓口がないため、自分で情報を集めて商品選びや手続きを行う必要がある点です。また、ポイント還元のルールなどが変更されることがあるため、公式サイトで最新情報を確認する習慣が大切です。
元本割れしたらどうなる?
- 元本割れしている状態で慌てて売却すると、損失が確定してしまいます。 長期投資を前提としている場合、市場が回復するまで**「何もしないで持ち続ける(ホールドする)」のが基本戦略**です。積立投資を継続していれば、価格が下がっている局面では同じ金額でより多くの口数を購入できるため、将来価格が回復した際に利益が出やすくなります。冷静に対応することが重要です。
まとめ
今回は、新NISAのデメリットや注意点を中心に、メリットとの比較や具体的な活用法まで詳しく解説しました。
新NISAには、確かに**「元本割れリスク」や「損益通算ができない」といったデメリットが存在します**。しかし、これらの多くは投資に共通する特性であり、新NISAだけの特別な欠点ではありません。
「デメリットしかない」「やめたほうがいい」という意見は、短期的な視点で投資を行ったり、リスク許容度を超えた無謀な投資をしたりした結果、生じる誤解であることがほとんどです。
「長期・積立・分散」という基本の戦略を守り、余剰資金でコツコツと続けるのであれば、運用益が非課税になるというメリットは非常に大きく、多くの人にとってデメリットを上回る恩恵をもたらしてくれる可能性が高い制度です。
この記事で新NISAの全体像を理解できたなら、次は行動に移す番です。まずは少額からでも、あなたの未来のための資産形成を始めてみてはいかがでしょうか。
writer:kitamura