News 都心マンション価格高騰に急ブレーキ…「売れない在庫」急増で“転売不動産バブル崩壊”前夜を思わせる不気味な兆候
本日衝撃のニュースが飛び込んできたので、そのまま引用いたします。

都心3区(千代田区・中央区・港区)のマンション価格の急騰は2025年秋から急ブレーキがかかっている。2026年3月の都心3区の中古成約㎡単価は238万円で、半年前からは1%上昇にとどまり、上昇基調は止まったが、下がったとは言えない。1年前と比較したら15%、2年前と比較したら42%も値上がりしている。
今後、高止まりとなるのか、下がるのか、その瀬戸際にきている。 この急ブレーキは価格よりも成約件数に現れている。2026年1〜3月の不動産業界でいう繁忙期の成約件数は1年前より14%減少した。買い手が少なくなり、価格が横ばいとなり、成約件数が減少した。ちなみに、首都圏全体の成約件数は、2026年1〜3月に前年同期比で約2%増えているので、件数だけで見たら都心3区の一人負け状況にある。
■「物上げ」競争で売出価格だけが上がり続ける 成約価格は上昇基調ではなくなったが、物件検索サイトに出てくる売出価格はいまだに上がっている。これは仲介会社の仕事ぶりを見ていれば、なぜそうなるのかがわかりやすい。 売買仲介では、売却依頼を取る「売り仲介」と、購入希望者を案内する「買い仲介」があるが、仲介会社は圧倒的に売り仲介の獲得に力を入れやすい。売却活動を1社に任せる専任媒介契約を結べば、かなりの確率で成約に結びつけることができるが、購入希望者から依頼を受けていても、顧客が買いたい物件をその仲介会社が扱えない場合、手数料はゼロになる。この成約率の差は、少なくとも3倍は違うだろう。
このため、売りの専任媒介契約を取るために「顧客の想像以上の高値で売りましょう」と提案する。これまでの実績としての成約事例が1億円でも、「1.4億円で売れるかもしれません」とは誰でも言えるので、相場上昇期では高値で専任媒介契約を結びたがるものだ。売却予定の物件を探し、売主から媒介契約を取る行為を、業界用語で「物上げ(ぶつあげ)」という。 このセールストークに一般の売主は期待を膨らませる。「A社よりB社のほうが価格査定が高い」とやみくもに信じて、高いほうを選びたがる。とはいえ、自分の家だけが高く売れる理由などあるわけがない。高値への期待が先に立ち、人は自分に都合よく考えるものである。
「高値で売りましょう」と言っても、現実は売れなくなってきている。媒介契約は最長3カ月なので、失望する顧客が急増していることは想像に難くない。それは売り出し中の物件、つまり在庫件数の急増となって現れる。2025年3月に都心3区のレインズ(業者間データベース)にあった在庫件数は2903件であったが、1年後には4205件と45%も急増している。 その在庫の中には、買い替えですでに次の住まいを購入し、その引き渡しが控えている売主の物件もある。こうした売主は一定期間内に売らなければならないため、現実的な売出価格にせざるをえないだろう。そうなると、成約価格は下がることになる。
■物件検索サイトに載っている価格の正体 売出価格がどのくらい高いか、説明しておこう。一般の方は、物件検索サイトに載っている価格を相場のように思いがちだが、現実はそうではない。不動産業者は売出価格には無頓着で、成約価格だけを気にしているものだ。 具体的には、2026年3月時点の売出㎡単価と成約㎡単価の乖離幅は過去最高の38%もある。比較対象として、金融緩和後に市場が動き始めた2013年から2024年までの平均を見ると17%であり、その差は2割以上という異常値なのである。このため、業者間では「高すぎる」との声も出ており、「物上げ」時とは違う話が出てくる始末になる。
こうなったのは、夢を見させるには好都合とばかりに「物上げ」をしていた仲介業者と、高値への期待が先に立った売主の組み合わせのなせる業でもある。冷静になるためには、売主も仲介業者に「この物件の成約事例をすべて見せてください」と言って、時系列の変化と現在の上限を理解しておく必要がある。実現しない夢を見続けるのは現実的ではない。 ちなみに、都心3区だけでなく、首都圏でも同じ現象が起こりつつある。売出㎡単価と成約㎡単価の乖離幅は、2013年から2024年までの平均は9%だったものが、都心3区を中心に成約が滞り始めた影響もあり、この半年で急騰し、2026年3月には27%まで広がっている。
■不動産価格を左右するのは「資金の流れ」 今後の不動産価格を占うには、価格メカニズムを理解する必要がある。不動産価格は需給だけで決まるわけではない。特にマンション価格は、買い手がどれだけ資金を調達できるか、つまり金融機関の融資姿勢や金利環境に大きく左右される。 1980年代後半に起こった不動産バブルが崩壊したのは、不動産への資金の流れを「総量規制」という名の下に止めたからにほかならない。不動産を現金だけで買える人は限られる。だからこそ、金融機関が大量に貸してくれるなら、不動産価格は上がるのだ。
今回、都心3区を中心に価格が暴騰したのは、転売目的の取得を行う不動産業者などへの大量の資金提供があるからにほかならない。それは「『不動産バブル崩壊』はいよいよ近づいているのか? 金融庁が地銀に出した警告の“深い意味”」で書いたので参考にしてもらいたい。 今後の不動産価格も資金の流れが重要になることは間違いない。その手がかりとなるデータが存在する。日本銀行が四半期ごとに発表する短観には、「金融機関の貸出態度判断DI」というデータがある。これは、企業から見た金融機関の貸出姿勢について、「緩い」と答えた企業の割合から「厳しい」と答えた企業の割合を差し引いた指標である。貸出額そのものを示すものではないが、借り手から見た金融機関の融資姿勢を把握するうえで参考になる。
不動産業界の中でも、大企業(主にデベロッパー)、中堅企業、中小企業に分けられており、2026年3月時点はプラスの数字を付けている。特に大企業は13というプラスの数値を維持しており、新規開発を担う大企業に対しては、金融機関の貸出姿勢がなお緩いことがうかがえる。新規供給がないと、供給不足で価格は上がるし、家賃も上がってしまうので、大企業への資金供給は望ましい結果である。 一方で、短期転売を目的に物件を取得する業者の多くは、不動産業の中でも中堅企業や中小企業に含まれるとみられる。その貸出態度判断DIは大企業の半分程度しかない。その分、DIがゼロ、つまり「緩い」と「厳しい」が均衡する水準に近づく可能性は高いと考えられる。
■金融庁の地銀への警告が転換点になる可能性 そんな中、2026年2月に、金融庁が全国の地銀に対し、不動産業への融資増加について異例の警告を発した(共同通信)。金融庁による地銀の不動産融資に対する警告の影響は、次回の6月の貸出態度指数で明らかになる。それが、都心3区の転売バブルを意味するのであるならば、中堅以下の企業には今後マイナスになることも考えられる。その結果は都心3区の転売不動産バブルの崩壊になると私は考えている。
実際、新築分譲マンションの売れ行きは鈍り始めている。都区部の初月契約戸数、つまり発売初月に契約された戸数は、2025年1〜3月は1251戸、2026年1〜3月は846戸と32%減少した。この期間の総契約戸数も2946戸から2533戸へと14%減少している(不動産経済研究所)。 2026年は都心3区の価格調整期に入るだろうが、これには一定の時間がかかるだろう。まず、売れ行きは悪くなったとはいえ、件数は半減したわけではない。そして、媒介契約は3カ月あるので、売出価格が下がるのに数カ月はかかる。今の物件検索サイトにある売出価格がどんなに高くても、同一物件内でこれよりもやや安ければ買い手が来てくれる可能性があるので、急に下げるとも考えにくい。
つまり、売出価格は、高値の新規売出物件が出てくれば短期間で上がりうるが、下がるのは時間がかかるのだ。このため、調整期間は急騰したこの2年より長期化する可能性がある。 価格調整が数年に及ぶ場合、これまでは近隣で新築物件が周辺の中古成約価格よりはるかに高い価格で出てきて、中古価格もそれに引っ張られて上がる「連れ高」になったものだが、このメカニズムが働かなくなる可能性はある。 新築は派手に宣伝するので目立つものの、同じ場所で数百戸販売するのは一般的に大変なものだ。それが、投機的な買い手が多数集まった時代が終わってしまうと、正反対の販売状況となり、閑古鳥が鳴くこともある。
■調整局面は購入を見送るべきなのか? では、価格調整局面では購入を見送るべきなのか。私はむしろ逆だと考えている。買い手が増えると、価格を高値づかみさせられる可能性が高まるし、落ち着いて吟味もできなくなる。売れ行きが悪い時は、新築の抽選も少なくなり、中古で指し値を入れて買うこともできるようになる。 買い手有利になるがゆえに、買い時到来という考え方もある。3年ぶりにくる買い時は、持ち家を購入したい人にとっては、めったにないチャンスとも言えるだろう。
東洋経済オンラインより引用